#74 「ワクワクもしているし、多少なりとも不安もある」。ルヴァンカップ決勝を控えた岩尾憲のメンタリティー

#74 「ワクワクもしているし、多少なりとも不安もある」。ルヴァンカップ決勝を控えた岩尾憲のメンタリティー

「サッカーの現場から #38」ールヴァン杯決勝・福岡×浦和ー

2023/11/3

▼30年前に夢見た聖地へ
 35歳にして初の聖地・国立へーー。その事実に最も驚いているのは、岩尾憲本人かもしれない。遡ること約30年前。当時の“岩尾少年”はブラウン管を通して、華々しいJリーグ開幕の舞台を目にしていた。
「サッカーにはこんな世界があるのだと。そう思った記憶が残っています。30年前、その舞台に立つことを夢見た少年が30年後のピッチに立つわけですから、人生何が起こるか分かりません。人はいろいろな境遇にいると思いますが、誰かのきっかけになるようなプレーができたらなと思います」
 アビスパ福岡とのルヴァンカップ決勝は、満員が必至。恐らく平常心でピッチに立つことは難しい。それでも試合はやってくる。日本サッカーの聖地に足を踏み入れる上で、岩尾はどんな心の整理をするつもりなのだろうか。
「当日になってみないと分からないですが、変に抗おうとせず、自分の感情を受け入れれば良いですし、結果という目的に対してやることは何も変わりません。それも経験だと思います。ただまだ見えないことなので、ワクワクもしていますし、多少なりとも不安もあります」
 不安と口にしたネガティブなワードは、一発勝負を制する上で余計な邪念になりやしないか。しかし、サッカーは人間がするスポーツ。岩尾も人の子、ということだろう。
「勝負事ですし、相手があることでもあります。僕も人間なので、もしも負けたら…と考えなくても浮かんでしまう瞬間はあります。ただそれは良くも悪くも人の側面です。それを受け入れつつ、良い状態でピッチに立ちたいです」
 ファイナルの舞台という意味では、AFCチャンピオンズリーグの決勝がそれにあたる。しかし、そのスケール感は比べるまでもない。全くの別物。ACL決勝の経験値は生かせるのか。あるいは、そうではないのか。岩尾の個人的な見解はこうだ。
「感覚としてはありますが、生きるかどうかは分かりません。その経験に依存しておぼれることもあり得ますし、一方でないがしろにして生かせないことも良くない。ただ経験としての手ごたえはあるので、生かせるか生かせないかは分かりませんが、言えることは経験の手ごたえがあるということです」
 国内初のメジャータイトル獲得へ。35歳のチャレンジの結末はーー。

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